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認知臨床心理学の父 ジョージ・ケリーを読む

-白梅学園大学大学院・特任教授無藤隆先生のFace Book拾い読み

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認知臨床心理学の父 ジョージ・ケリーを読む:パーソナル・コンストラクト理論への招待 単行本(ソフトカバー) – 2017/3/1
フェイ・フランセラ (著), Fay Fransella (著), 菅村 玄二 (翻訳)

私は読まないとは思うが、懐かしかったので。私は院生の頃にジョージ・ケリーの2巻本を多少(既に古典だった)、またその弟子たちの(当時の最新の)本を読んだ記憶がある。認知的アプローチの走りの1つ(1950年代末頃か)。

以下、上記の本の内容。

内容紹介
精神分析と行動主義が心理学で隆盛を極めた1950年代,G.A.ケリー(1905-1967)は,認知と感情,そして行動を分割せずに「統合的」にとらえる枠組みを提唱した。認知に焦点を当てた各種の心理療法のほか,パーソナリティ心理学,ナラティヴ心理学などに強い影響を与えた,彼のパーソナル・コンストラクト理論とは何か,その誕生と展開を丹念にたどり,現代的な意義を浮き彫りにする。

◆関連図書
『パーソナル・コンストラクトの心理学【第1巻】:理論とパーソナリティ』
The Psychology of Personal Constructs: Volume One: A Theory of Personality
(G.A.ケリー 著/ 辻 平治郎 訳)
認知に関わる療法のほか,心理学の諸理論に強い影響を与えたケリー。彼の埋もれていたパーソナリティ理論を初邦訳。

『パーソナル・コンストラクトの心理学【第2巻】:臨床診断と心理療法』
The Psychology of Personal Constructs: Volume Two: Clinical Diagnosis and Psychotherapy
(G.A.ケリー 著/ 辻 平治郎 訳)
本邦では紹介がなされてこなかったケリーの代表的著作の後半部分。パーソナリティ理論の臨床への応用まで扱い,その含意を追究。

◆主な目次
監訳者まえがき
序文
●第1部 ジョージ・ケリーの人生
第1章 ケリーの遍歴
第2章 ケリーの複雑さ
●第2部 理論への貢献
第3章 心理学の理論
第4章 心理療法の理論
●第3部 方法への貢献
第5章 心理測定法
第6章 心理療法の技法
●第4部 ジョージ・ケリーの評価と影響力
第7章 批判と反論
第8章 ケリーが与えた影響
監訳者あとがき
出版社からのコメント
◆監訳者あとがき(一部抜粋)
心理学は、その歴史をとおして、認知・行動・感情というトライアングル・モデルで「心」を理解しようとしてきた。心理療法に当てはめると、行動療法では行動を制御し、認知療法などは認知を修正し、人間性心理療法では広義の感情の次元に焦点化することでアプローチしてきた。こうした「心」のモデルは、歴史をとおして推進され、今日の心理学でも、行動、認知、感情の分割はますます強化され、自明のこととなっている。

ケリーは、半世紀以上も前に、この三分割モデルに異議を唱え、そのオルタナティヴとして、「パーソナル・コンストラクト」を提唱した。しかし、現在もなお、この三分割モデルは支配的であり、それゆえに、パーソナル・コンストラクトも、それが認知的か、感情的か、行動的かという分割モデルで捉えられることが多かった。つまり、今日の心理学でさえ、ケリーが提唱したパーソナル・コンストラクト心理学を十分に理解できるほどには発達していない。

たしかに、コンストラクトには、明らかに認知的な要素がある。そのため、ケリーの貢献の一部にすぎないことを踏まえたうえで、「認知心理学の先駆者」や「認知臨床心理学の父」と呼ぶことに異論はない。しかし、ケリーのアイデアの本質は、後に展開される認知心理学、パーソナリティ心理学、認知行動療法、ナラティヴ・アプローチの考え方を、すでに洗練された形で先取りしたものであったと言ったほうが正確であろう。

認知行動療法やナラティヴ・プラクティスの一部について、「認知の修正」や「物語の書き直し」という発想に見るセラピストの特権性や先験的な価値観が問題視されることがある。だが、ケリーが強調したのは、再構成(reconstruct)であり、再理解(reconstruing)であって、正したり直したりすることではない。それは、あくまでオルタナティヴ、すなわち代わりになり得るものを手に入れることであり、世界とのかかわり方、あるいは人生の選択肢を増やすことである。

コンストラクトとは、人間に関して言えば、認知・行動・感情にまたがり、それらが統合されたものである。リアルタイムに組織化される認知・行動・情動の総体といってもよい(菅村、2002)。有機体のふるまいを方向づけるプロセスを指している。伝統的な心理学の視点に依って立つ限り、ケリーが言わんとしていたことを正しく理解し、評価することは難しい。

ケリーは、パーソナル・コンストラクト理論を指して、「神が人間の目をとおして現実を見るために人間の眼鏡をかける試み」だと話したことがあるようである。これはある意味で傲慢な発言ともとられるだろうし、躁うつ的な研究者特有の一時的な誇大妄想と見ることもできるだろう。牧師の父をもつ敬虔なキリスト教徒であるケリーが、このような発言をしたことは興味深い。

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