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保育所保育指針における改定のポイント(2-1)

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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※無藤 隆教授が·2019年2月7日木曜日にノートを公開しました。

保育所保育指針における改定のポイント(2-1)
(何度も解説してきたことですが、かなりこなれてきたかもしれません。)

今回の保育所保育指針の改定は、幼稚園教育要領と幼保連携型認定こども園教育・保育要領がともに改訂される中で、それらを近づける形を取っています。それが「幼児教育」としてのあり方を明確にするということです。以下、主にそれらの3つの類型における「教育」のあり方が何かを解説します。保育指針の改定のすべてのポイントを示すことは紙幅の関係で難しいので、それは厚生労働省の資料などを参照ください。(また、無藤 隆・汐見稔幸・砂上史子(2017)「3法令ガイドブック」フレーベル館、などを参照。)今回の改訂・改定(以下、合わせて「改訂」)のねらいは大きく三つほどを挙げられます。

3歳以上の幼児教育の共通化

まず1つは、幼稚園・保育所・認定こども園において、特に3歳以上については共通化するということです。改訂ではそれを「幼児教育」と呼んでいますが、今回突然そうなったわけではなく、保育指針の元・2年度、10・11年度、前回の20年度で少しずつ幼稚園と共通化してきていることが分かります。そういう意味で保育指針の流れを見ると、保育所保育の専門性の確立とセットで、幼児教育としての位置付けを明確にしたということになります。ただ、幼稚園と幼保連携型こども園は学校教育法での幼児期の「学校」であり、保育所は児童福祉法の児童福祉施設であることに変わりはありません。いずれ改訂されるかもしれませんが、今のところはその親法律は生きていますから、いわばぎりぎりのところまで幼児教育としての軌道修正を図ったということになり、実質的には3歳以上は同じことを指導・教育していくということになります。

なお、保育所においても保育指針において「教育」を明示してあります。保育所保育を養護と教育の一体性として定義して(児童福祉法)、組織的計画的な保育を進めていくとしています。それは学校教育の定義と比べるならば、子どもの学習(学び)ということが明記されていないということでもあり、消極的な教育の定義ではあるのですが、今回の改訂で幼稚園などでの学校教育で言う教育にほとんど同じと言えるまでに近づけたのです。

幼保連携型認定こども園では「教育」は学校教育として、また「保育」は保育所の保育と同様に子どもを預かる機能としていますが、「教育及び保育」を進めるとして、学校教育としての教育は養護的保育的機能に絶えず支えられて成り立つことを明示しています。その意味で、短時間(1号児の学校教育)でも長時間(2号児などの保育)でもいずれにせよ「教育及び保育」を通して学校教育としての教育も保育もそこで受けることを可能にするのです。

資質・能力と幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

幼稚園・保育所・認定こども園のいずれにせよ、乳幼児期にふさわしい保育(教育)を行うとしています。それは環境を通しての保育(教育)という考え方に他なりません。その乳幼児期にふさわしい教育のあり方は小学校以上と根本的に異なるものです。

しかし同時に、教育は乳幼児期からさらに小学校中学校へと発展し、大人に向けての成長を助長していく営みでもあります。そこでの連続性が確保されねばなりません。乳幼児期は乳幼児期として育てるべきやり方やねらいがありますが、それが小学校とか中学校につながっていかなければいけません。このことは義務教育を小学校前に下ろすとか、幼児教育を上に上げるということではなく、つながりというのを明確にすることによって、送り込む側も受け止める側もそれぞれの育て方を理解しながら、子どもがしっかり育つようにしようということを意味しています。

そのために、資質・能力として、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等という3っの柱を乳幼児期から学校教育全体を通して共通にしてあります。そして同時に、その資質・能力の3っの柱を乳幼児期にふさわしい芽生えであることを明確にしています。すなわち、「感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする」、「考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする」、「心情、意欲、態度が育つ」ことです。具体的な子どもの生活や遊びで見られる姿において発揮される子どもの力であることが分かります。子どもが学び育つとは、気付いたりできるようになったり、試して工夫したり、さらに面白さや不思議さを感じて(心情)、やりたいと感じ、粘り強く取り組んだり、挑戦したり、人と協力したりすることを通してなのです。そういうことを至るところでやれるようになっていく子どもの力を資質・能力の育ちと呼んでいるのです。

この資質・能力は乳幼児期からさらに小中高と育っていくのですが、幼児教育(保育)として責任を持つ範囲は幼児期の終わりまでです。その時の資質・能力の育ちのめどを「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として10個に整理してあります。これらは年長時期に特に伸びてくる5つの内容領域の中の重点的なことを挙げたものです。以前より幼稚園教育要領では領域の「内容の取り扱い」として述べられている指導のための重点化が元になっています(内容の取り扱いは今回の改訂で保育指針にも入りました)。「姿」としてあるように、保育者が指導の際に子どもの様子を捉え、どのように何を指導していったら良いかが分かりやすくなるように資質・能力を具体化して、日頃の子どもの様子で捉えやすくしたものです。

※(2-2)に続く