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保育指針における資質・能力とは

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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保育指針における資質・能力とは
※無藤 隆教授が、2018年12月26日水曜日にノートを公開しました。

保育所保育指針
4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項
⑴ 育みたい資質・能力
ア 保育所においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、1の⑵に示す保育の目標を踏まえ、次に掲げる資質・能力を一体的に育むよう努めるものとする。
( ア ) 豊かな体験を通じて、感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
( イ ) 気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判断力、表現力等の基礎」
( ウ ) 心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性等」

イ アに示す資質・能力は、第2章に示すねらい及び内容に基づく保育活動全体によって育むものである。

保育所は環境を通しての保育を養護と教育の一体性の中で進めるところです。それを通して子どもの中で何が育つのか、それを明確にしたのが今回の改定です。それは同時に、幼稚園や認定こども園でもそのようにしているので、タイプの違いにもよらず、幼児教育として育てるべきものは3つで共通化したのです。

同時に、この資質・能力は小学校・中学校へと伸びていくものであり、その点から小学校とのつながりを作っていく基盤となります。それは小学校を下に引き下げるということではなく、あくまで乳幼児期にふさわしい教育を行うことによってです。その方法が環境を通しての保育の考え方であり、その際の子どもがする活動の内容が5つの内容領域であり、そしてそこから子どもの内面で育つ力が資質・能力なのです。

そこで、同じ資質・能力として、乳幼児期も小学校以降も使うのですが、乳幼児期にはその時期にふさわしい形に言い換え、資質・能力の芽生えとしての育ちを表しています。

資質・能力は3つの柱で構成されています。第一は知識・技能に関わるところですが、小さい時期の特性に合わせて、体験の大切さを述べた上で、そこで、感じ、気付き、できるようになる過程を強調しています。気付くとは物事の特徴を見つけることです。水を樋で流すとちょっとした隙間でも漏れてしまうなど、小さな発見でよいのです。できるようになるとは1歳児なら日々、歩く歩数が増え、安定して歩け、階段を上り下りするようになります。

第二は、思考力などに関わるところです。小さな子どもは大人とは違って(小学生とも違い)机に向かって、ノートを取ったりして、考えたり、話し合って言葉だけで考えたりするのはまだ早く、実際に体を使って何かしながら、そこで頭が働くのです。そこで、特に試し工夫することを強調しています。実際に何かを実現したいと思い、そのイメージに向けて作ったり活動していることをそれに近づけようと何とか工夫して実現しようとするときに、頭を使う、つまり考えているのです。

第三は特に学びに向かう力であり、これは興味を持ち面白く思ってやろうとする、粘り強く取り組む、挑戦する、人と協力する、といったことを指しています。心情とは特に面白い、不思議、すごい、かっこいい、素敵といった身の回りの出来事への興味の表れを指します。意欲はそこから関わりたくなることです。態度とはさらになんとやり遂げようとすることです。そういう興味を持ち、やりたくなって、がんばる力を学びの向かう力と呼んでいます。

これら3つの柱は別々に育つものではありません。乳児期から5歳児までそれぞれの年齢なりに1つの活動の中で子どもが集中すれば、この3の力が発揮され、さらに伸びていくことでしょう。保育で大事なことはそういう力の発揮と伸張を保障するため、子どものすることを待ち、ゆとりを持って見守り、必要ならヒントや説明や指示を出すようにという、柔軟な保育士の関わり方にあります。長い目で見ると、そこから各種の学びが成り立ち、いろいろな場面で気付き、できるようになり、試し工夫し、興味を抱いて粘り強く取り組む姿が増えていくことでしょう。