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小学校・学校経営のビジョンと提言①

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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※無藤 隆教授が、2018年12月4日火曜日にノートを公開しました。

小学校・学校経営のビジョンと提言

本年度、来年度と小学校は移行期間を経て、学習指導要領の本格実施へと向かう。そこでの学校としての課題は多岐にわたるが、そのいくつかを整理しておきたい。

主体的・対話的で深い学びの推進

何より学習指導要領の改訂の核となるところは「主体的・対話的で深い学び」の推進にある。しかし、かなりの解説がなされているものの、誤解も多いようである。

第一、この推進は特段の授業時間の増を必要とするものではない。例えば、ある単元が従来、10時間だとすれば、それをそのままにして、新たに話し合いとかその他の能動的な学びの時間を加えるという趣旨ではない。その10時間のうちのいくつかについて、授業の改善としてそれらの学びの視点を使っていこうというのである。

第二、従来から小学校では能動的な学びを実践していたので、今回の改訂で特に新たな改革など必要がないとする向きもある。確かに優れた先進的な学校の試みを多くの学校でも実践可能にするのが改訂の意図でもあるので、そういった改革を以前より進めていたところではそれは当てはまる。しかし、多くの小学校ではそうだろうか。主体的・対話的で深い学びというその精神にまで深めて行っているのだろうか。ただ、表面的に話し合いの時間があったり、教師の説明があったり、が羅列しているのではないか。それらが有機的につながり、子どもの学ぶ姿勢を作り出してっているであろうか。

第三、この3つの学びを理解するには、知識や思考、また意欲などの捉え方がこの数十年の研究と実践を受けて決定的に捉え方が変わったことを把握する必要がある。それが「資質・能力」という今回提起した学びの基底にあるものである。知識とはバラバラの個別的な知識とその暗記を指しているのではない。知識は相変わらず重要であるが、それは知識と知識が互いに結びつき、構造的なものとなり、そのために問題解決に使える理解を構成する知識となるからなのである。さらに深い学びに通じるためには、その構造の核には教科などの本質をなす知識を想定し、それとの結びつきを図る必要がある。思考とはそれらの構造化された知識を利用し、新たな情報を取り入れ、問題解決に向けて再編成をしつつ、未知の可能性へと踏み出すことである。学びに向かう力とは意欲であり、意思でもある。それは持続的に学びに向かい取り組み、考え続ける志向性なのである。そういったものが各種の授業を通して育成可能であるということが今回の改訂の最大のポイントである。

第四に、それを受けて、主体的・対話的で深い学びのありようを理解する必要がある。主体的とは学習者である子どもが自ら見通しを持って、どうやって学んできたか、これからどうやって学んでいくかを考えていくように教師が情報を提供していくことである。自らの学びを学習者が自覚的に進めることであり、そこには学ぶための方略の利用や当該教材の背景をなす知識構造の把握などが不可欠である。対話的とは、子ども同士、子どもと教師、著作などの見方や意見を互いに表に出して、それを比較し、また統合していく営みである。多面的な見方がそこから生まれ、知識の構造化が発展し、未知に向けての問題解決が可能になる。そのためにも、多様な表現形態を駆使する必要があり、そのための思考ツールが多数提案されている。学びに向かう力とは単にやる気があるということを超えて、それを持続的な学びへと転換することであり、そのために学びの方向性を見渡す力を助けとして、意欲を意思へと発展させるのである。こういう学び方を身に付け、先ほど述べた資質・能力を獲得しながら、教科としての見方・考え方に近づき、それを通して、教科横断的な学力へと向かっていこうというのが深い学びである。

②に続く