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小学校・学校経営のビジョンと提言②

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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小学校・学校経営のビジョンと提言①の続き

カリキュラム・マネジメント(働き方改革を含めて)

カリキュラム・マネジメントとは教育課程・指導計画さらに学校の運営前提を適切に進めていくために、それらの関連の中で検討して、実行可能にしていくことである。それが緊喫の課題となってきたのは、一方で教科横断的な学力に向けていくこと、そのための学校の資源の適当な組み合わせと共に地域の教育資源を活用すること、さらにこの2年ほど集中的に中教審で議論されてきた教員の働き方改革の問題がある。

第一に、今後の学習指導要領の根本的な考え方は資質・能力を伸ばすことにあり、それはひいては生涯を通じて当人が学び続けるための姿勢と力を形成することなのである。それは当然ながら、各教科等を超えた教科横断的なコンピタンスを育成することである。だが、そのコンピタンスは学ぶべき内容なしに成り立たないのであり、教科の内容を通して少しずつ様々な問題場面で適用可能な力として身についていく。そこでは、教科を指導することが当該の単元で得るべき知識などと単元が連なり教科としての見方・考え方の理解へとつながっていくこと、そしてそれがさらに他の教科等との関連が見えてきて、教科横断的な力として具体化していくこと、という3つの目標を満たす学習のあり方を成り立たせねばならない。そのためのカリキュラムは、単元がバラバラでなくつながりを明示していくことや、教科の間での考え方などのつながりが把握されていくことが必要であり、それがコンピタンスの形成を目指すカリキュラムの問題なのである。

第二に、その実現のための資源(リソース)の配分の問題がある。予算も限られるが、何より人員と時間が決まっている。一方を強調すれば、他方の指導が弱くなるという懸念がありうるう。どんな教科にしても内容にしても常に時間が足りないという声が挙がる。どうすればよいのか。そこに先ほど述べた、一定授業時間の中でその質を上げていくための授業改善の視点としての主体的・対話的で深い学びが生きるのである。またそれを通して単元間での考え方や問題の捉え方や解決の仕方のやり方(方略)の適用を広げていく。さらに教科等の間での関連漬けを意識して、学びを高めていく。そのデザインこそが実践に即しつつ、大きな見通しを立てるカリキュラムのあり方なのである。

第三に、働き方改革が通常の勤務時間を超えて働かざるを得ないことをできる限り削減することを否応なく求めてきている。何よりタイムレコーダーによりきちんと勤務時間を記録することである。その上で、所定の勤務時間を超えて働くことは上司の命令や認可としてなされるべきことであることを確認する。家庭への持ち帰りやいわゆるサービス残業はすぐにゼロにはできないだろうが、工程表を作り、数年で相当に減らす必要があるのは明らかだ。学校でまた教師がやるべき仕事を見直し、最小限として、もっと授業とその準備に時間を割けるようにする。もちろん広い意味での教材研究や実践研究などは勤務時間の外として自由に取り組むとしても、直接の日々の授業につながるところは勤務であるべきだ。

この働き方改革を上記で述べてきた学習指導要領の改革の趣旨、とりわけ主体的・対話的で深い学びの実現と両立させることは確かに容易ではないが、それこそが学校の果たすべき使命のはずなのである。

小学校の低学年・中学年・高学年の改革

小学校の6年間という期間は学びが進む時間として相当に長い。幼児期の学ぶということの自覚が乏しく、遊びと学びが重なっていようなところから、少しずつ授業という形の中で自分の疑問と教師の提起する課題とを接合し、級友の学びへの模索を自分のこととして捉え返し、多様な理解を統合しようとするところへと成長していく。だが、そこに置いて、学力テストが示すようにかなりの個人差があり、その違いは個人と家庭によるものと共に教師の指導や学校のあり方によるところもかなり大きい。

そうすると、小学校の低学年と中学年と高学年、それぞれのごとの課題を意識して、指導を切り替えていった方がよいはずである。それがあって始めて、6年次の学力テストの平均値を改善し、また個人による格差を是正していくことができるようになる。

高学年の課題は教科の指導の中味の高度化にある。それは専科教員を増やすという動きに示される。とりわけ理科や英語などは小学校教員養成課程の現状を見ると、通常の担任でどこまで立ち入った指導が可能かよく見えない。専科でないにしても、中学校免許を持つとか、専門の教員のサポートを受けるなどが不可欠であろう。その意味で小中の連携の推進がもっと進められてよい。

中学年の課題は各教科や特別活動や総合的な学習の特徴を子ども側が学びの面白さというところから感じ取れるようにすることが一番重要ではないか。それぞれの教科等に固有の学び方や解決の仕方が多数あって、その使い方を身に付けていくのである。

低学年の課題は学習指導要領総則に示されている通り、幼児教育において培われてきた資質・能力を活かして、生活科を中心とした合科・関連的指導を1年の最初のみならず、低学年前提で実施していくことである。既にその時期から子どもは意味ある学びを進めようとしており、単なる暗記や学習習慣の習熟を超えて、分かることを求めている。それは幼児期に学んだことを思い起こし、小学校の教科等の自覚的で言語的・記号的な学びへと活かしていくことである。学び分かっていくことの充実感を味わい、そこで考え、意味が把握できることの面白さに目覚めさせることである。また生活科を中心に様々な教科等をつなぎ、教科横断的なコンピタンスの形成へとつなぎ、その後の学習の基盤を育てることなのである。

学習評価のあり方

学習評価と要録の考え方が中教審から提案されるので、それを受けて、評価活動を学習に活かしていく必要がある。教育課程や学習・指導方法の評価と結びつけ、子どもたちの学びに関わる学習指導の改善をさらに教育課程や学習・指導の改善に発展・展開させ、授業改善および組織運営の改善に向けた学校教育全体にサイクルに位置づけるようにする。さらに子ども自身また保護者に対して、そのような学習の過程を明示して、評価を通して指導側の改善と共に、子ども自身が自分の学びをよりよくしていくことを援助していく。そのために資質・能力に基づく観点別評価を進めるのである。