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幼児の要録をどう書くか

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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※無藤 隆教授が、2018年10月9日火曜日にノートを公開しました。

《要録をどう書くか》

要録とは教育課程を持つ幼稚園と幼保連携型認定こども園ではその修了の証明の意味がありつつ同時に小学校への参考資料でもあり、保育所では小学校への参考資料として位置づけています。そのため、幼児教育としてどのようにその子どもが育ってきたかを要約的に示すものになります。その欄を見ればあまりたくさんは書けないことが分かるでしょう。そこで各々の子どもの育ちをまとめる必要があります。その際、資質・能力、5つの領域、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を参照して、分かりやすく要点をとらえましょう。

そのためにまず記録を元に子どもの育ちの姿をとらえていきましょう。具体的にどういう活動(遊び・生活)でどのように子どもが力を発揮して、成長に向かって行っているかをとらえます。そのため、まず活動の顕著なところに注目して記録を取り、整理してみましょう。

5つの領域に沿うことは以前から示されてきたことです。健康、人間関係、環境、言葉、表現のそれぞれごとに書いても良いのですが、領域が子どもの育ちでそう分離しているわけでもないので、いくつかをまとめたり、顕著な点がなければ特定の領域について省いたりもして良いでしょう。

資質・能力の3つの柱は、気付き・できるようになること、試し・工夫すること、意欲を持ちねばり強く取り組むことなどからなります。そういったキーワードを意識して、子どの様子(姿)の記述に盛り込むようにすると、資質・能力とのつながりが見えてきます。どういう活動の姿であろうと、こういった3つの面は起きているでしょうから、必ずそれらを記述に入れていくようにしましょう。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿については、その10の姿をすべて網羅する必要はありません。例えば、何人かで鬼ごっこをしていれば、そこには運動(健康な心と体)、協同性、話し合い、などなど、様々な10の姿の育ちが見られるでしょう。一つの活動の姿をとらえれば、そのように、いくつもの学びがあり、育ちが可能になっていくのが幼児教育の総合的なあり方なのです。

さらに、10の姿とは各々が資質・能力の現れた具体的な様子を示したものです。その完成されたものというのではなく、今育ちつつあり、その方向に向かっていく様子をとらえたものです。ですから、その記録の記述では、先ほどの資質・能力のキーワードとさらに各姿でのキーワードを使うようにすると、その活動を通しての育ちが見えてきます。

例えば、「健康な心と体」では、充実感、見通し、自らなどがそのかなめとなるキーワードです。その通りの言葉である必要はありませんが、それに類した言葉を意識して、記録の分析に入れていきましょう。

要録を作っていくときの最も基本となることはそのような記録を取り、その記録を資質・能力と10の姿で検討していくところにあります。資質・能力と10の姿のキーワードを用いながら、どの領域とどの領域に特に関わるかを述べるようにします。

そういった活動の記録と検討したものがいくつもその都度に作られていくことでしょう。それらを一月あるいは数ヶ月くらいの単位で眺め直して、特に10の姿のいくつかの育ちとしてまとめてみます。子どもの成長の著しいところや良いところ、子どもが特に集中し力を発揮しているところなどを中心とします。

そのような姿については、担任一人で行うというより、園長・主任、また他の担任などと共有し、保育の改善に用いながら、1週間、一ヶ月、数ヶ月、学期、半年といった具合に、成長のあり方へとまとめていきます。そこに担任としてどう関わり、記録を元にどのような保育の改善を図ったのか、そういう中で子どもがどのような成長を示したのかを検討します。

このようにして、記録・検討・振り返り・改善という保育の見直しの過程を通じて、子どもの成長のとらえを的確なものにしていきます。それは単に客観的という意味ではなく、その姿の記述を通して子どもの育ちをより深く理解できたということによります。

子どもの育ちの姿をバランス良くとらえるために、そういった育ちの様子をシートに書き込み、領域、資質・能力、10の姿などから再度吟味をし直して、要録としてまとめてください。