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保育者(幼稚園教諭・保育士)養成の現在と今後(2-2)

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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《保育者(幼稚園教諭・保育士)養成の現在と今後》(2-1)の続き

保育の質の向上を目指して、厚生労働省と文科省が協力してワーキンググループが始まった。この時期に始まったのかと言うと、特に厚労省全体で見たときに、ある部分について構造的な質、質を下げる方向の議論もあり防衛策もあったり、何年か先を目指したときに質をあげることは考えているだろう。待機児童問題が優先されていて、保育士も足りない。1歳児の比率は保育者一人に対して乳児6人であるが、5人にしたいが、1割以上の保育士が必要になってしまう。現状でも足りないのにそのような規程を入れたら保育所が運営できなくなってしまう。待機児問題がいつまで続くかというのは、5年前には30年度くらいと言っていたが、先に延びて、後3,4年くらいでカタがつくのではないかと想定している。施策の目標が変わってくるし、質を考えることができるようになってくる。幼稚園教諭も足りない状況なので増やすことはすぐにはできないが、別の側面から質の向上はできるであろう。

第三者評価を義務づけることが大事だがすぐにはそこにはいけない。いくつか問題がある。予算がかかりすぎる。東京都は保育所についてほぼ義務づけであるが、全国で実施するのはそうできることではない。もう一つは誰がやるのか。都道府県全てに揃えるのは大変であるが、養成校の教員、準ずる人を組織的に育成していかなければいけないが、今はその体制はない。保育学会の研究などでも研究のエビデンスが出てはいない。幼稚園では自己評価が義務づけられているし、園内保育や公開保育を充実させていく。自治体ごと、団体ごとにすでになされているが、もっと組織化し広がっていかなければいけない。公開保育をもっと全面的に広げるためにはどうしたらよいのか。園内研修は幼稚園ではなされているが、保育所ではどうすればよいのか。ノンコンタクトタイムを日々確保する時代がくるかもしれない。保育士の時給が上がればできるかもしれない。人出不足、園バス、預かり保育などで園内研修が幼稚園でも難しくなっている。園内研修によって保育を見直し問題の共有などをしっかりやることが大事である。

さらに、キャリアップ研修を含めた研修の仕組みをどう作っていくか。研修の整備をやってきたが、それを体系化、組織化していく必要がある。保育団体、自治体でそれをどう実現するか考えていく必要がある。キャリアアップ研修を具体化するときに困難にぶつかっている。東京都では広げるのが難しく、北海道では地理的に広大であり、どのように実践できるようにしていくのか大変な点がある。講師、ファシリテータの問題もある。

幼児教育センター、アドバイザーのあり方を見ていると試行錯誤段階にあり、十分な方向が見えているとは言えない。養成校はその中の中心にあるので、養成と研修においては幼児教育センターと共に車の両輪にならなけばいけないが、まだ十分ではない。

教員養成の問題について触れてきたが、課程申請の問題をクリアし、今後の課題として、今年は調査してどこから始めるか検討する。養成校の質をどうあげるか。課程申請でOKがでた上でより質の高い養成校にしなければいけない。すぐに出てくることは情報公開を進めることが提言されている。教職課程においても情報公開が進められる。免許を取った学生数、実際に教職の現場に就職したかなど。もう一つは大学などにおける教職課程における組織化の問題。教職センターなどでその質を管理できるように求めているが、課程申請が終わったらもっと強く求められるだろう。学生のキャリア発達を支援する。養成校を卒業した後に、現場で支援することをどうしていくか。教職センターで学生の情報を一元化して、教職に関わる育ちを授業だけでなく、学びをどう支援するかを考える。芽生え的な手立ては少しずつ発表されてきている。どのくらいしっかりやっていくかが問われている。教職課程に関わる教員の研修、それを何人かの研修に出てくるだけでなく、養成校の中でFD研修など、授業改善をするかが求めれている。教職課程というのは文学部などとの学部とは違い、実務家を育てる学部である。医学教育、看護師、薬剤師の教育は以前から実務的にやってきた。教職の教育は従来の大学教育と実務教育の両方をやってきたが、現在はどうするべきかが問われている。各教育委員会ごとに教員の育成に関わる指標作りをしている。卒業の時の指標でもある。そのあたりについて今後どのように踏み込んでいくのか。今回の教職課程申請には間に合わないが、今後踏み込んでいくことになるだろう。国家試験、卒業試験、養成校でチェックする仕組みをどのように入れるのかが検討されていくだろう。

5つの領域の専門についてより明確な枠組みを作ることの必要性。教科の専門から領域の専門に変えたわけであるが、養成校としても未知の領域である。養成校のテキストを見れば、保育内容などと書かれているが、再整理、再吟味が必要であろう。領域内容の高度な専門性があるわけだが、同時に指導法と有機的にどうつながるのかを検討していかなければいけない。2,3年でめどをたてる。

2番目は十分にできていないが、実習の問題である。実習のあり方と共に、学校体験活動、学校インターンシップを含まれていく。そこをどう進めていくか、どういう中身であるべきか。養成校側の実習指導体制をどういうものにしていくか。実習指導担当者だけが指導すればよいというものではなく、全教員が協力する。各園における指導の問題はまだ手がついていない。法令的な検討も必要であろう。実習指導担当者はどういう資格なのか、どういう研修を受けているのか、指導する意味は、養成校の担当者と園の担当者が協働するというのは建前であるが、どういうあり方がよいのか、どれがあるべき姿なのか。両方共が熱心に関わるべきだが、他の仕事を抱えながらどれくらいのことができるのか。実習期間はこのままでよいのか。諸外国と比べると日本は貧弱である。看護師教育に比べて、一桁レベルが低いと批判されても仕方ない。十年先には延ばせない、喫緊の検討が必要である。

養成校の教員の専門とは何なのか。保育現場に詳しくないといけないだろう。同時に学問背景があり、領域の専門が現場での指導法を超えて学問の知見とのつながりに入っていくことでもある。養成校の教員が現場に詳しく、養成校の指導のあり方にも詳しく、学問的背景の専門家、研究者でもあるかもしれない。専門性とは何かと問われるだろう。抽象的な議論ではない。養成校の採用、昇進の基準は、研究業績、教育業績を求めるのか。実務家教員というのはどのような業績、資格、経験を持っていなければならないのかについて養成校で考えなければいけない。