>  > 長期・短期の指導計画の作成(保育指針)

サービス二ュースService News

一覧へ戻る

長期・短期の指導計画の作成(保育指針)

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

画像1

※無藤 隆教授が、2018年3月11日(日)にノートを公開しました。


《長期・短期の指導計画の作成(保育指針)》

第1章 総則
3 保育の計画及び評価
⑵ 指導計画の作成
ア 保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。

保育所の保育のカリキュラムは、全体的な計画と指導計画からなります。全体的な計画は目標と狙いを整理したものです。それに対して、指導計画はその目標・狙いを実現するために、具体的にはどういう活動を導いたらよいのかを示すものです。その具体的なあり方は地域や季節や天候、さらにその園の環境、その時期のその園・クラスの子どもたちの活動の流れなどにより変わります。たとえば、散歩に行くとしても、庭が極めて広ければそもそもしないかもしれません。行く途中の道道の様子や行った先の公園などの様子でもやることが違うでしょう。夏秋冬など季節に応じて見つかるものも変わります。具体的に何をするかは、日々の展開で変えていってもよいのです。晴れか、雨か、雪香でも当然することが変わり、子どもの経験が異なるはずです。そうだとして、それに対応して、ねらいも違うこともあるでしょう。どんぐりを見つけて集めるなら、秋の自然に親しむという狙いに向けての活動かもしれません。公園で鬼ごっこを楽しむなら、全身運動することがねらいになるでしょう。

指導計画が具体的になればなるほど、実際の指導上、参考にしやすいのですが、同時に、そこにこだわりすぎると、実情に合わないばかりか、せっかくの子どもの出会いや気付きの可能性を無視することになりかねません。公園で運動遊びをしようと出かけたら、雨上がりでちょうど虹が出てきたら、それを見ないで、あくまで運動をするのではなく、皆で虹が消えるまで眺めて、その後、きれいだったとか、どんな色があったかな、と会話が弾むでしょう。それは自然の現象への気付きですし、思いがけない天候への驚きと感動であり、その後、たとえば、園に戻って、虹について調べたり、霧吹きで虹を作ってみたりという活動に広がってもよいでしょう。たまたまの機会を生かして、活動は様々に広がりうるのです。

そこで、指導計画は長期と短期に分けると便利なのです。長期とは年間、季節、学期などの期、月を単位とした指導計画であり、週や日を単位とする短期のそれとは区別しておきます。園によっては、2週を基本単位としているところもあります。季節ごとの主な活動や行事などを組み入れ、全体的な計画との関連を立てるには年間などの長期の指導計画が向いています。また、担当する子どもの日頃の生活の全般的な様子や年齢などの発達的な特徴なども考慮しやすくなります。指導計画ですので、そこに具体的な活動を入れ、狙いと関連を見やすくします。

そうすると、全体的な計画→長期の指導計画→短期の指導計画という流れと、逆に、短期の指導計画→長期の指導計画→全体的な計画という流れの両方が生じるわけです。その短期の指導計画に基づく保育は、さらに実際にやりながら、臨機応変に子どもの様子を見つつ、変えていくことでしょう。むしろ、毎日毎時間の保育の細部まで短期とは言え、指導計画で決定されているわけではありません。指導計画を念頭に置きながら、その時々の状況で変えていってよいのです。ただ同時に、その保育の最中でなくても、その新たに生じたことやそこで思いついて実施したことが短期・長期の指導計画やさらに全体的な計画のどこに位置づくものなのかを見直して、子どもの活動の意味を確認しましょう。それにより、短期の次の段階への見通しが立てられます。今日は、思いがけず予定とは少し違うが面白い活動が見られたので、その意義を考えると、明日以降、こんな方向に発展できるのではないかと考えて、次の日や次の週の指導計画を修正のです。そうなってこそ、指導計画は「適切」と言えるものとなります。子どもの発達や生活の状況にふさわしいものになりつつ、全体的な計画などの、当初のねらいでないにしても、そこのいずれかのねらいに向かうものとなるからです。