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保育・幼児教育の論点(上) 低所得層の全⼊・無償化を(2-2)

-白梅学園大学大学院・特任教授無藤隆先生のFace Book拾い読み

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保育・幼児教育の論点(上) 低所得層の全⼊・無償化を
※(2-1)の続き

最後に(3)、すなわち(1)を介さないマクロ効果はどうか。
朝井友紀⼦・東⼤研究員らの分析によれば、00年代のデータでは6歳未満⼈⼝に対する認可保育所定員率が⾼まった都道府県ほど、⺟親の就業率が上昇する傾向があった。
また⼭本勲・慶⼤教授の分析によれば、上場企業約1千社の00年代のデータでは、正社員⼥性⽐率が上昇した企業ほど利益率が⾼まる傾向があった。この傾向はワークライフバランス制度(短時間勤務制度や専任部署設置)が整っていた企業ほど顕著で、⼥性の参⼊により職場の⽣産性が⾼まる可能性を⽰唆する。
待機児童解消は⺟親の就業を⽀援することで、労働⼒⼈⼝の増加、労働市場や職場での競争の機会均等化と活性化につながり、経済効果を⽣む可能性がある。筆者が拙著「⼦育て⽀援が⽇本を救う」で実施した分析によれば、先進諸国平均でみれば政府の保育⽀出増に伴う翌年の国内総⽣産(GDP)増加量は⽀出増加額の2.3倍と推測される。
また深井太洋・東⼤研究員の分析によれば、00年代では顕在的待機児童のいた市区町村でのみ、6歳未満⼈⼝に対する認可保育所定員率が上昇すると、25〜39歳⼥性の出⽣率が⾼まる傾向があった。若年⼥性就業率が今後⾼まれば、待機児童を完全に解消することで、全国の合計特殊出⽣率は最⼤で1.7程度まで⾼まる可能性があるという。

◇ ◇
以上(1)〜(3)を踏まえると、保育・幼児教育で優先すべきは、まずは(1)と(2)の点から「低所得層の全⼊化(病児・夜間・障害児を含む)と無償化」であり、次に(3)の点から「待機児童の完全解消」だ。
野村総合研究所の推計によれば、政府の「⼦育て安⼼プラン」(保育定員32万⼈増)を実施しても、20年時点で潜在的待機児童は約50万⼈いるとみられる。50万⼈分の解消には少なくとも約5千億円の財源が必要だ。病児・夜間・障害児保育の拡充と待機児童の完全解消のための財源は、3〜5歳の無償化を延期すれば8千億円が浮くので、それでほぼ確保できるだろう。
なお財政再建は、消費増税よりも景気抑制作⽤が⼩さいと考えられる相続税拡⼤や年⾦課税累進化などの増税策により進めればよいだろう。
しばた・はるか 78年⽣まれ。京都⼤⼈間・環境学博⼠。専⾨は社会
学、社会保障論