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幼児期の教育に大切なこと:保護者のために

-白梅学園大学・無藤隆教授がノートを公開

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※無藤 隆教授が·2017年10月10日(火)にノートを公開しました。


《幼児期の教育に大切なこと:保護者のために》

幼児期の園での教育とは何でしょうか。その教育の質が高いとは何を意味するのでしょうか。

小さな子どもが家庭を離れ、家庭の外にいる様々な大人や子どもに触れ合い、一緒の過ごし方を学びます。この世界中にある「もの」とは土や砂や水や風や動物や植物や、さらに人が作った道具や素材や仕組みなど無数にあり、その特徴を知って、使えるようになっていきます。小学校以上の教育はその上に立って、今度は教える内容を精選して、子どもがそこに集中し、系統的に学ぶのですが、幼児期はその前の時期として、身の周りにある様々な物事との付き合い方を学ぶ時期なのです。

暑い夏、寒い冬などまだ人生で何度も経験しているわけではありません。冬の外の寒さを知ることはもしかしたら、園に通って初めて実感するかも知れません。花壇や畑の土に触り、ミミズに触り、ビックリすることもあるかも知れません。小さな積み木を丁寧に積んで、背の高さを超えるように出来るようにもなるでしょう。

小学校の理科で生き物について学ぶ前に、まず虫やミミズに触れることがあり、あるいは数学での論理の組み立てを知る前にどうすれば落ちないように精巧に積み木を積み上げていけるかを知るのが不可欠なのです。すべての学校の勉強はこの世界の成り立ちを解明するものであり、それが理解できるためには、まずはこの世界を成り立たせる様々な人や物との出会いが大事になるのです。出会い、発見し、気付き、出来るようになっていく機会が園にはたくさん用意されています。

その上で、自分がやってみたいことや作ってみたいことが園にいると、たくさん出てきます。年上の子どもがやっていることや先生が見せてくれることを自分もやりたいと願うからです。園では「遊び」を大事にするのですが、その遊びは例えば遊園地で乗り物に乗って楽しむこととはだいぶ異なります。乗り物で子どもが実際にすることは椅子に座り、回りを見ていることです。そうすると、自動的に椅子が動き、景色が変わって楽しいのです。園の遊びはそうではありません。積み木も砂場も子どもが自分で積んだり、穴を掘ったりして、初めて面白くなります。自分でやるからこそ、自分の力が発揮でき、さらにそれが伸びていくのです。園での遊びとは、周りにあるもの・人へ能動的に関わることによって面白くなるものであり、だから、遊びを通して学ぶのだと幼稚園では言うのです。

さらに、楽しくて、もっとやりたくて、素敵ですごいものを作りたい・自分でもやってみたいとなるから、工夫もするし、がんばりもするのです。工夫するとは、頭を使うことです。脳の前頭前野という思考を司るところは工夫するところから伸びていきます。どうしてだろう、どうすればよいだろう、こうしたらきっといいよね、と何度も試しながら、自分で工夫し、また友達と相談し、先生からはヒントを出してもらって、自分で完成へと近づけていきます。

園ではやり方がすべて決まっているものより、基本のやり方を先生に用意してもらいながらも、自分でどう工夫したらよいかという幅が大きいと、工夫する力が伸びます。それを先生が認めて、さらに発展できるように、次の活動へと先生は誘導していきます。

頑張る力が伸びるのもこの幼児期です。大事なことは、まず自分のやってみたいことがはっきりとあることです。憧れて、自分もやってみたい・作ってみたいとなって、その意欲が原動力となり、工夫につながり、最後まで粘り強く取り組む力へと広がっていきます。それらの力こそが小学校以降の教育の最も土台なるものであり、園の教育の中核なのです。